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2026年8月27日

ポケモンGOの「ふわっと投げる」を数値化した執念に、人事評価制度の本質を見た

「ただのゲームでしょ」と思っていた私へ

先日、「プロジェクトX」でポケモンGOの開発秘話が放送されていました。正直に白状します。私はこれまで、ポケモンGOを「街中でスマホを構えて歩く、流行りのゲーム」くらいにしか捉えていませんでした。
その感覚が、どれほど的外れだったか。番組を見終えたとき、自分の不明を恥じるほかありませんでした。

人事評価コンサルタント、そして採用定着士として日々企業の制度設計に関わる立場から見ると、あの開発の過程には、私たちの仕事と驚くほど深く通じるものがあったのです。今日はその気づきを書き留めておきます。

開発陣が再現しようとしたのは「虫取り」だった

もっとも衝撃を受けたのは、彼らが目指していたものの正体でした。
再現しようとしていたのは、子どもの頃に野原や山へ出て、虫取り網を持って走り回ったあの感覚。どこにいるかわからない生き物を探して歩く。草むらをのぞき込む。見つけた瞬間の高揚感。あと一歩で逃げられた、あの悔しさ。

言われてみれば、ポケモンGOの体験構造はまさにそれです。画面の中の冒険ではなく、現実の街や公園を歩き、そこに「いるかもしれない」ものを探しにいく。原体験そのものを、テクノロジーで現代に呼び戻したわけですね。

「ゲーム=室内」という常識を、正面から壊した

さらに驚いたのが、この点でした。
ゲームは室内でやるもの——長年当たり前とされてきたその前提を、彼らは真正面からひっくり返しています。屋外に出て、歩いて、結果として健康になる遊び。ゲームに対する社会の評価軸そのものを塗り替えてしまった、と言っていいでしょう。

2歳の子どもからシニア世代まで、世界中の老若男女を虜にしている。その裏側に、これほどまでに深く練られた設計思想があったとは。開発された方々の思いとこだわり、そして形になるまでの根気強さには、ただただ敬服するばかりです。

「ふわっと投げる」を、数字で定義しきる

そしてもう一つ、思わず膝を打った場面がありました。
モンスターボールを投げる動作。指で上にすっとなぞったときの、あの「ふわっと弧を描いて飛んでいく」感覚。開発陣は、この言葉にしづらい体感を、細かい数値レベルまで詰めて再現していたというのです。

角度、速度、放物線の描き方、当たり判定の許容幅。感覚的には「ちょうどいい」としか言いようのないものを、誰が触っても同じ気持ちよさになるところまで数字で定義していく。

この執念に、私は自分の仕事を重ねずにいられませんでした。人事評価制度の設計とは、まさに同じ作業だからです。

人事評価制度とは、「感覚の具体化」にほかならない

現場の経営者や管理職と話していると、こういう言葉をよく聞きます。

  • 「あいつはよく気が利く」
  • 「彼女は責任感がある」
  • 「もう少し主体性を持ってほしい」

どれも、その方の中では明確な感覚。けれど、そのままでは評価制度になりません。
「気が利く」とは具体的にどんな行動を指すのか。「責任感がある」状態と「ない」状態は、何をもって線を引くのか。どのレベルに達したら等級が上がるのか。

感覚を、誰が見ても同じように判断できる基準に翻訳すること。 ここが人事評価制度づくりの核心です。

曖昧なまま運用すると、人は静かに辞めていく

ここを詰め切らないまま制度を回すと、何が起きるか。
評価者によって結果がぶれます。被評価者は「なぜこの評価なのか」を納得できません。そして制度そのものへの信頼が失われ、最終的に、人は辞めていきます。

採用定着士として現場を見てきて、離職の背景に「評価への納得感のなさ」が横たわっているケースを、私は何度も目にしてきました。給与でも人間関係でもなく、根っこはそこだった、というケースが確かにあるのです。

逆に、基準が具体的に言語化・数値化されている組織では、上司と部下の会話が変わります。「もっと頑張れ」ではなく「この項目のこの水準を目指そう」と話せる。指導が具体的になり、成長の道筋が見えてきます。

ポケモンGOの開発陣が「ふわっと」を数値化したように、私たちは「良い働き」を基準へ落とし込む。細部を詰め切るかどうかで、体験の質がまったく変わってしまう。この構造、驚くほどよく似ていませんか。

規模は違えど、目指す先は案外近い

ポケモンGOは、世界中の多くの人に遊びをもたらし、外へ出るきっかけをつくり、健康的な生活を促し、そして愛され続けています。ゲームという枠を超えて、人の暮らしを少し良い方向へ動かしている。そこに私は新しさを感じました。

私が関わる人事評価制度は、規模で言えば比べるべくもありません。それでも、目指しているものは案外近いところにあるのかもしれない、と思うのです。

その会社で働く人が、自分の頑張りをきちんと見てもらえていると感じられること。次に何をすればいいかが見えること。それが働く人の幸せにつながり、ひいては会社の発展に貢献すること。

大きさは違っても、人を動かし、人を幸せにする仕組みをつくるという一点において、同じ営みなのだと思います。

そんな貢献ができる人事評価制度を、これからも一社一社と向き合いながら構築・支援していきたい。番組を見終えて、あらためてそう感じた次第です。

最後に、3つの問いかけを

みなさんの会社の評価制度は、「ふわっと」のままになっていないでしょうか。

  • 評価基準を、部下に一言で説明できますか
  • 評価者が3人いたら、3人とも同じ評価になりますか
  • 「なぜこの評価なのか」を、根拠を示して伝えられますか

ひとつでも引っかかるものがあれば、制度が悪いわけではありません。まだ感覚が具体化されきっていないだけ、ということも多いのです。

人事評価制度の構築・見直し、採用と定着に関するご相談を承っております。「制度はあるけれど機能していない」「評価のたびに現場がざわつく」——そんな段階からで大丈夫です。まずはお気軽にお声がけください。

この記事が参考になりましたら、スキやフォローをいただけると励みになります。みなさんの会社の評価にまつわるエピソードも、ぜひコメントで聞かせてください。

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